日本人は宗教的か? 日本人は、一般的に無神論者であるとか、宗教に無関心であるといわれる。
しかし、初詣やお盆やお彼岸の墓参りなどの宗教的な年中行事への参加、御守りや御札、あるいは、おみくじや占いをある程度信頼している点など、実際は、必ずしも宗教に無関心であるとはいえないのである。
ところで、日本人の宗教的な部分を考察してみると、日本人に共通してみられる感覚や考え方がある。墓参りや仏壇を拝むなどの先祖崇拝・先祖供養の行為、また死後の霊魂の存在の概念など、祖先への崇拝が重要である点が、まず大きな特徴である。
また、人間は重大な局面に直面したとき、何か心のよりどころが必要であるという「弱い存在」という人間観、「人間には、自分の力では、どうすることもできない運命というものがある」という運名論の諦念。入試、就職試験、その他の重大な事態や困ったときなど、「神頼み」や神社への参拝の際の願い事など現世利益への期待、「人には知られなくても、悪いことをすれば必ず報いがある」という因果応報的思考などが、日本人に特徴的な宗教観であるといえる。このような宗教的な特徴づけがなされる日本人ではあるが、日本人は信仰に関して無関心であると言われる。
「人間の生活に『宗教』は必要か?」という問いに対し、
日本人の72%は宗教が有ったほうがよいと答えているが、「『信仰心』を持つことは大切だ」と答えている人は49%にまで落ち込んでいる。これに見られるように、信仰心の必要性は、宗教の必要性ほどには認められていない。
これは、日本のメインの宗教、あるいは日本人が親しみを感じている宗教が仏教であるからであると思われる。キリスト教やイスラム教は一神教であること、普及された教典が有ること、信仰告白、受洗の制度など、信仰を自覚しやすい要素が多いが、仏教はこれらの要素が見られない。
また、普遍宗教であるところの仏教とともに、日本人に浸透している「民俗宗教」とも言える宗教を考えてみると、この「民俗宗教」は年中行事、通過儀礼、俗信などを中心としており、また、自然発生的に生じた宗教であるから、教祖も教説も存在せず、その基盤は家、親族、地域社会にあるので、普遍宗教のように第三者に、その教えを広めることはなかった。このような特色を持ち、また、キリスト教のような形式の宗教と全く異質な、この「民俗宗教」のような形の宗教では、おそらく信仰の自覚というものは全くないものであると思われる。
日本人は、なぜ自分が無信仰であると答えたがるのかというと、日本の宗教の特質により、日本人を自分が信仰しているという自覚をさせなくしているからであった。しかし、日本人の大部分は宗教的心情を持ち、様々な宗教的行動をしている事実は、日本人の宗教を考える上で重要であるといえる。
<参考>「日本人の宗教意識」NHK放送世論調査所より
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